インボイス制度Q&Aセミナー/質疑応答の回答集~法制度・全体スケジュール編~
2023年7月7日開催の「インボイス制度Q&Aセミナー」にて、事前に皆様からいただいた
ご質問の回答「法制度・全体スケジュール編」を掲載いたします。(全13問)
当日は非常に多くの方にご参加いただき、ありがとうございました。
セミナー内で回答できなかった内容も含め回答しております。ぜひご覧ください。
なお、同内容で複数いただいたご質問は、まとめての回答とさせていただいております。
また、いただいたご質問はすべて確認いたしましたが、 考えられる回答の幅が広いものや、
税務アドバイスに抵触する可能性があるご質問については割愛しております。
あらかじめご了承ください。
※質疑応答の全体数が多いため、カテゴリごとに分けて記事掲載しております。
他カテゴリもぜひご覧ください。

回答内容はラクス見解であり、対応の正当性を保証するものではございません。
対応内容の是非の最終判断は所轄の税務署によって行われます。
ご不安な点や判断に悩まれる際は、必ず税務署や税理士等の専門家へご相談ください。

目次
| (問1)インボイス制度への切り替えに関する作業工数(時間)はどのくらいなのでしょうか? |
各社によって異なりますが、事前の整理等がすでに済んでおり、「楽楽精算」上のどこをどのように設定変更するかが決まっている状態であれば、そこまでのお時間はかからないと想定しています。
実例として、以下例の設定を行ったお客様では、全体で1時間ほどで設定が完了したとのお声もあります。
■設定例
・「免税事業者のフラグ」を配置
・その有無で税区分コードを読み替え仕訳データに出力する計算式を設定
内訳を増加させるパターンの場合、どういった内訳を追加するのかの検討も必要ですが、
追加する選択肢さえ用意できれば、取込作業自体は10分ほどで完了します。
| (問2)「電子帳簿保存法オプション」の導入と合わせてインボイス対応の設定をし、社内導入する予定でいます。 「楽楽精算」の機能にインボイス対応が備わるのが8月?とのことですが、そのリリースを待ってからオプション利用とインボイス対応設定をするスケジュールでも問題ないのでしょうか?それとも「電子帳簿保存法オプション」の社内導入を先にしておいた方がいいのでしょうか? |
設定や「楽楽精算」外での準備の観点では、「電子帳簿保存法オプション」の導入を早めに実施していただくのがよいかと存じます。
「電子帳簿保存法オプション」に関する「楽楽精算」内での基本設定箇所は多くありませんが、
周辺の書類の準備や、より便利に使うための設定に時間がかかる可能性もございます。
8月以降はインボイス制度対応のための準備が佳境になると想定されるため、
平行して準備するよりは、準備できるところを早めに進めておいた方が安心かと存じます。
なお、8月のアップデートでは、設定が必要な機能追加というよりは、運用を楽にする補助機能を中心に追加予定です。
既にインボイス制度対応のための設定も実施可能なため、こちらを先に進めるという手段も考えられます。
補足ですが、社内展開の観点ではインボイス制度対応、電子帳簿保存法対応が同時に行われる方が、
申請者、承認者の業務フロー変更を一度に終わらせられるメリットがあるかと存じます。
| (問3)自販機特例に該当する取引が稀に発生します。一問一答を参照したところ、住所の記載が要件となっていますが、この特例時のみ、住所入力が必須になるような良い運用方法はありますか?また、取引先自体は記載する必要はありますか? |

▶2024年1月19日追記:
令和6年度税制改正大綱内で、以下のとおり自販機特例適用時の住所記載を不要とする旨が
示されました。
令和6年度税制改正大綱 四 消費税 > 4 その他 > (10)
|
一定の事項が記載された帳簿のみの保存により仕入税額控除が認められる自動販売機及び (注)上記の改正の趣旨を踏まえ、令和5年10月1日以後に行われる上記の課税仕入れに係る |

まず前提として、自販機特例はインボイスによる取引でなくても「帳簿のみの保存により仕入税額控除が認められる取引」の一部です。そしてこの仕入税額控除を認めてもらうためには、帳簿の記載事項に関し、通常必要な記載事項に加え、次の事項の2つの記載が必要です。
1: 帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められるいずれかの仕入れに該当する旨
【例】適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の公共交通機関による旅客の運送に
該当する場合、「3万円未満の鉄道料金」や「公共交通期間特例」等
適格簡易請求書の記載事項(取引年月日を除きます。)が記載されている入場券等が使用の
際に回収される取引 に該当する場合、「入場券等」
2: 仕入れの相手方の住所又は所在地(一定の者を除きます。)
【例】適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の自動販売機及び自動サービス機からの
商品の購入等 に該当する場合、「〇〇市 自販機」、「××銀行□□支店ATM」等
上記の情報を帳簿へ記載するためには「楽楽精算」の伝票上に情報を入れておく必要があります。
また、記載がない場合は仕訳に連携しないとしても、後で見返した際に必要な情報をたどることができません。
そのため、伝票の備考欄等に記載する、といった運用やプルダウンにどのケースに該当するか、
という選択肢を作成して選択してもらう、という運用が考えられます。
一方、「帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められるいずれかの仕入れに該当する旨」については必ずしも特定の文言である必要はなく、該当の取引がどのような取引であったかを判別できる状態にしておくことが重要です。
そのため、例えば近隣の公共交通機関の利用については「楽楽精算」の「乗換案内」や「ICカードオプション」を利用した申請に限り、公共交通機関を利用したということが第三者にも明らかにしておく、といった手段が考えられます。
なお、伝票上に記載した特例である旨、の情報等は必ず帳簿(会計ソフト)にそのまま連携する必要はなく、「楽楽精算」の伝票Noのみを会計ソフトに連携し、帳簿から伝票を遡り必要な情報が確認できれば問題ございません。
摘要欄の文字数制限があり、元帳に情報を持たせられない場合等に有効な手段です。
また、何かしらの特例が選択されたときのみ住所入力を行うよう警告を出す、というような設定も
入力時の不備を減らすための工夫として有効です。
あわせて、自社で起こりうる特例のパターンを整理し、社内周知を徹底しておくことも効果的です。
| (問4)事業者登録番号は、必ず「楽楽精算」は伝票に表示しなければならないのでしょうか? また、領収書や請求書の写真を適切に電子保存していれば、会計ソフトデータ側では、事業者登録番号や証跡のデータ保存などは必要はありませんか? |
仕訳データ(会計ソフト)等に事業者登録番号そのものを出力する必要はありません。
ただし、該当の取引が適格請求書発行事業者との取引かどうかは確認できる状態にしておく必要があると認識しております。
そのため、「楽楽精算」の伝票上に事業者登録番号を表示しておく等、番号をキーに事業者登録の有無が表示されるため設置を推奨しております。
また、帳簿側で番号の保存をする必要はありませんが、「免税事業者との取引である旨」の記録は必要となります。
| (問5)販売側として、インボイスは顧客からの支払明細書となる場合に当社の売上時に計上する仮受消費税と、受領するインボイスの消費税額に数円の差額が発生する可能性があります。 その場合の差額は入金時(債権消込時)に営業外損益での処理を考えていますが問題ないでしょうか?それとも仮受消費税額を修正する必要がありますでしょうか? |
あくまでラクス見解ではございますが、貴社で計上された仮受消費税額と、顧客から受け取った支払明細書の税額が端数処理を理由に異なっていても、仮受消費税を修正する必要はないかと存じます。
また、営業外損益の処理を行う必要についても不要なのではないかと推察いたします。
これは消費税の端数処理方法については各社に委ねられており、納付消費税額の計算方法として帳簿積上げ方法を採用している場合、必ずしも先方が発行した証跡と一致している必要はないためです。
※法制度に関する事項のため、お手数ではございますが、
本件につきましては税理士の方をはじめとした専門家に必ずご相談いただけますと幸いです。
| (問6)現在会計ソフトとのデータ取込方法が分からないため、「楽楽精算」の伝票データ出力からデータを出力し、部門ごとにExcelのピポッドテーブルで集計して部門・勘定科目・金額を会計ソフトに入力しています。インボイス制度が開始してからもこのような方法でもいいのでしょうか ? |
インボイス制度の開始によって新たに必要となる情報がカバーされているようであれば、問題ございません。
免税事業者との取引である情報(税区分など)も手入力されているようであれば、
「楽楽精算」からは、免税事業者との取引である旨の情報が出力されていれば判別は可能かと存じます。
なお、会計ソフト自体に外部取込機能がついており、「楽楽精算」から出力した仕訳データを取り込みたいという場合、弊社からご案内できる情報がある可能性もございますので、必要に応じて、お問い合わせフォームからお問い合わせください。
| (問7)小口精算を社内各営業所で現金で行い、Excelの表に記入し、それをもとに会計ソフトに入力していますが、この運用でよいのでしょうか?営業経費で法的には必要ないでしょうか? |
こちらについても、正しくインボイスが保存されており、インボイス制度で追加となる帳簿への記載事項が満たされている場合、問題ないという認識です。
小口経費についても「楽楽精算」上で申請していただき、必要な情報を伝票データに出力するということも可能ですので、必要に応じてお問い合わせください。
| (問8)免税事業者の確認について 一部のセミナーでは適格請求書発行事業者ではない場合、免税事業者か確認の後に経過措置が適用できると言っていたのですが、仕入部分に関しては対応可能ですが、経費部分につきましては、領収書に事業者登録番号がない際に取引先が免税事業者かどうかを確認するのは実務的に難しい(すべての番号がない領収書の会社に電話にて確認?)かと思います。この場合は領収書に事業者登録番号がない場合はもう経過措置の8割を適用する方法でよろしいのでしょうか? |
ご記載いただいた通り、受領した領収書/請求書に事業者登録番号の記載がない場合、該当の証票はインボイスとは扱えないため、免税事業者との取引と同様に処理する必要があるかと存じます。
そのような領収書について、本来であれば1件ずつ取引先に対し、適格請求書発行事業者であるか確認するのが原則となります。
しかし、実務とのバランス上、あくまで見解ではございますが経過措置対象として処理する事例も増えるのではないかと予想いたします。
| (問9)旅費交通費精算で、弊社では宿泊費8500円以下の場合は領収書添付不要としています。(社内規定あり)インボイス制度が始まっても領収書添付は不要のままでも大丈夫でしょうか? また、上記の内容が大丈夫であれば、 公共機関特例の帳簿への記載が必要になると思いますが、社内規定に領収書不要の記載があれば、公共機関特例の記載は不要になるのでしょうか? |
問題ないかと存じます。
また、公共交通機関特例の記載は不要かと存じますが、ご質問のケースですと「出張旅費特例」に
該当するのではと考えられますので、その旨を帳簿に記載するなどの対応は必要になるかもしれません。詳細は税理士や管轄の税務署へもご相談ください。
| (問10)いわゆる出張旅費特例を適用する場合、インボイス制度の要件を満たせば領収書の保存は不要になるわけですが、電子データで受領した出張旅費関係の領収書(例:ETC利用明細、航空運賃の領収書)は電帳法に基づき、電子データのまま保存する義務があるのでしょうか? |
特例に該当する取引に関しては、仕入税額控除するにあたり、保存する領収書が「インボイス」である必要はない、とご認識いただくとわかりやすいかと存じます。
ただ、インボイス制度上は不要でも、法人税の根拠となる電子帳簿保存法の観点では支払の証跡として保存しておくことを推奨いたします。
かつ、受領した領収書/請求書が電子で受領したものなら電子保存の対応を行う必要がございます。
| (問11)立替精算について飲食時の領収書を受領した際に、役務(お食事代として等)が書かれていないが別紙明細(レシート)を取得できた場合はどうなるのでしょうか? 領収書の再発行が必要なのでしょうか、それとも明細により、役務が明確であれば適格請求書として認められるのでしょうか? |
まず、前提としてこのような判断に悩む帳票の扱いについては必ず税理士や税務署等の専門家へご確認をお願い致します。
弊社見解としては、領収書に「 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容」がない状態になるため、それ単体ではインボイスとは認められないかと存じます。
ただ、別紙のレシートで役務が明確であれば、別紙のレシートを含めた複数書類でインボイスとして扱えると考えております。
| (問12)「一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる特例」で、「一定の事項を記載した帳簿」=「楽楽精算」としようと検討しております。 複数路線を乗り継ぐケースで「乗換案内」機能を使用した場合、複数路線の合計額が一明細となりますが、それは大丈夫なのでしょうか? 相手先名なども補足の欄を作成しているので、そこに何件か並べて入力していればいいのでしょうか? |
問題ない認識です。公共交通機関特例を適用した場合、実際の支払先を確認できるようにしておくことが求められています。
「楽楽精算」の「乗換案内」機能を利用して明細を作成した場合、「どの路線を利用したか」という情報が「経路」として表示されます。
もちろん、「東京メトロ東西線」といった表示になりますが、この場合支払先が「東京地下鉄株式会社」となることは明らかです。
「楽楽精算」を利用しない場合には、社内で確認できる一覧を用意しておくことで対応する、という対策も示されていますので、「乗換案内」や「ICカードオプション」をご利用の場合は現行の運用を維持することで支払先を示すことができるものかと存じます。
※一部バス区間など、表示がされないものについては補足の欄等に記載しておくと、
より安心かと存じます。
| (問13)『出張旅費等特例』に関して ・適用要件 ・「楽楽精算」(または帳簿への転記)での対応事項 ・電帳法との関連(インボイス制度で保存不要の書類=電子取引データも保存義務は無いか? 例 社員立替発注時の電子取引データの保存要否) について知りたいです。 |
出張旅費特例は、 従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費等(出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当) に関しては、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除の対象とできる、というものです。
この特例の適用の原則としては、規程等で社内で統一されたルールが明文化されている必要があるという認識です。
帳簿への記載事項としては別の質問でも回答しているとおり、すべての要件を帳簿そのものに記載する必要はありません。帳簿から「楽楽精算」の伝票にさかのぼれる状態にしておき、伝票上で出張旅費特例にあたる取引だと説明できる状態であれば問題ないという認識です。
ただし、そのようなケースにおいても、受領した証憑の保存が不要とは言いかねます。
出張旅費特例に該当する場合、あくまでも仕入税額控除のために保存されている証跡がインボイスである必要はない、ということを意味しています。
ガバナンス等も踏まえた際に、証跡がない立替に対するリスクも一定あるかと存じますので、少なくとも現行運用下で必要とされる証跡は今後も添付を必須とすべきかと存じます。
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